ランヤードキルスイッチの実装(2021年1月30日加筆修正版)
安全性の向上にランヤードキルスイッチの実装は有効なので、作業が分かりやすいように記事を修正しました。記事中において、キルスイッチ=車体にもともとついているキルスイッチであり、ランヤードキルスイッチ=後付けのキルスイッチとして記述します。
以下本文
今回用意したランヤードキルスイッチはこちら!
これはトライアルショップがセロー等の一般車両でトライアルするユーザー向けに用意してくれたものです。転倒して外れると「スイッチオフ(遮断)」となるNCタイプです。トライアル競技では安全性とマシンの保護のためにランヤードキルスイッチの装着が義務付けられています。
これに似た形状のスイッチは色んなとこで見かけると思いますが、そのほとんどはスイッチが外れると「スイッチオン(導通)」となるNOタイプです。スイッチのタイプがNOなのかNCなのか記載されていないことが多いので分かりづらいので注意が必要です。
外れて導通するNOタイプのランヤードキルスイッチが多い理由はトライアル専用車両やジェットスキーなどのキルスイッチは「導通」で動作するからです。外れてスイッチオンになってしまうものでは別にリレーを噛ませてやる必要があってスペースが限られているバイクに実装するのはとても面倒くさいです。なので、外れてスイッチオフになるものはとてもありがたい存在なんです。
トライコムズさんの本家の方で注文すると発送方法にクリックポストを選択することが出来るので関東だと+200円弱と大変お得!送料が高くつきがちな沖縄とか北海道の方はとても魅力的だと思います。(めちゃめちゃ宣伝しているように見えますがこの記事を書いてる人は1円の利益もないです。)
んで、注文したものが届きました。
届いたランヤードキルスイッチは予想外にストレッチタイプの紐でした。。。これだと外れた時にマグネットが勢いよく飛んでくるのでノンストレッチタイプの紐に交換しちゃいましょう。ブランドや色にこだわりがなければ100均一でネックストラップや名札ケースの紐を流用するといいと思います。(飛んで行った時のために明るい色の方がいいかも)
(これは動画を撮った後に買ったもので、現在はこちらが付いています。)
さて、ランヤードキルスイッチを実装するわけですが、その前にMT07のサービスマニュアルで配線図を確認すると以下の通りです。
65番:ブレーキスイッチ
66番:ハザードスイッチ
67番:エンジンスタート/ストップスイッチ
つまり65〜67番がまとまったのが右スイッチです。
図:SMより(2018年式以降は変わってるかもなんで要チェック)
配線の対応は以下の通り
青/白:セルモーター
赤/白:通電
赤/黒:通電
黒:グラウンド(マイナス)
配線の「赤/白~赤/黒」は始動待ちとエンジンが回っている間は常に通電している必要があります。一方、青/白ー黒はセルモーター駆動時のみ通電していればよい。という関係です。そこで、ランヤードキルスイッチはマグネットがくっついてる時は通電、外れて遮断という特性なので、ランヤードキルスイッチを赤/白と赤/黒に並列で接続してやると、エンジン始動後にキルスイッチをオンにしてもエンジンは停止せずにそのまま回り続けることが出来ます。この状態でランヤードキルスイッチの紐を引っ張って外してやると「遮断」となってエンジンが停止といった理屈です。
この構造のメリットは、追加の配線がシンプルかつ万一ランヤードキルスイッチが破損または紐を紛失してもキルスイッチを通常の位置に戻せば問題なく走行が可能な点にあります。また、キルスイッチをオンにすると「遮断」されるタイプの車両であればこの方法は応用可能なはずです。(必ず配線図で確認してください)
作業の続きです。
MT07はヘッドライト裏に右スイッチのカプラーが隠れているので引っ張り出してきます。
要は配線を分岐させて並列に繋げてしまえばいいのでスプライス端子を使う方法もあります。
しかし、個人的な考えとして、なるべく純正ハーネスに傷を入れたくないので端子を介して接続する方法を選択しました。
端子の外し方はカプラーの種類ごとに異なりますが、上の画像のHMタイプのカプラーは配線が突き出てない側(接続されるとこ)からのぞき込んで竹串やピンを使ってロックを押し下げてやると外すことが出来ます。
もし分からない人はイーリバースさんのとこのWebページが参考になるかと思います。
http://e-rebirth.net/products/info/connector.html
ちょっとしたコツが要りますが簡単に外せます。
端子を引き抜いたら、次は端子の折り込まれたカシメを曲げ起こして外します。端子を切り落とす方法もあるのですが、そうしてしまうとカプラーの一部分だけ配線が短くなってアンバランスになってしまいます。なるべく切り落とさない方向で頑張ってください。ちなみに外した端子はほぼ間違いなく再利用不可になってしまうのでカプラーに対応した端子を別途調達する必要があります。ちなみにMT07に使用されているこのカプラーは住友電装のHM非防水タイプとなっています。これはキタコのコンビニパーツで入手可能です。よく分からない人は外したものを持ってバイクショップのパーツコーナーで同じ形状のものを購入すると確実です。
次はカシメていきます。
上の画像のようにランヤードキルスイッチの線と一緒にカシメます。通電さえしてくれればいいのでスイッチ側の極性などは気にする必要はありません。カシメる際は本来であばすっぽ抜け防止のために被覆もカシメてやる必要がありますが、そうしてしまうとカプラーの穴に収まらないサイズになってしまいます。そこで、少しだけずらしてカシメてやり、曲げの力がかかって骨折しないように熱収縮チューブを追加して保護することにしました。奥側の端子は熱収縮チューブ挿入済みです。
※カシメる際はなるべく小さくカシメてください。隙間があるようだとカプラーに収まりません。
※熱収縮チューブは端子のカシメにかからないようにしてください。カプラーに入らなくなります。
※必ず品質の良い電光 ペンチを使ってしっかりカシメてください。激安セット品の電工ペンチだと結構厳しいです。
端子をカプラーに カチッ となるまで差し込んでください。爪が正常に引っかからないとすっぽ抜けちゃいます。これで基本的な作業は終了です。 あとは取り回しを工夫しながら車体に装着してください。
テスト動画
ジムカーナ関係ではランヤードキルスイッチ導入に関する情報が不足しているように思いました。とても有効な装備ですのでこの記事が導入の手助けになれば幸いです。
不明な点などあればお気軽に質問してください。